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何処までも続く青い空に あなたの瞳を
                      深く 透明な海の青に あなたの心を



見ています 感じています あなたの全てを いつまでも
新一の・・・ううん、コナン君の隣で




広がる青の世界で

                           ニッシー 様



いつからだったんだろう  コナン君が新一だって確信を持ったのは。―――


いつからなんて覚えてない。
もしかしたら初めてコナン君と出会った時から気づいていたのかもしれないから。


気づいていない振りをしていただけで。


きっと、私が認めたくなかっただけなんだよね。
コナン君が新一だと。
新一が私に抱え込んでいることを何1つ話してくれないから?
新一が必死になって隠そうとしているから?


違・・・うよね。
新一のせいなんかじゃない。

―――私の我が儘

1番近くにいると思っていた人に重大な隠し事をされている。
「全てを話して」なんて言わない・・・言えない。
誰にだって話したくないことだってあるし、その人の全てを知ることなんてできない。
だから少しでもその人のことを知りたくて、同じ時間を刻みたくなる。


「コナン君が新一なの?」と聞きたい時もある。
新一の姿を 声を と望んでしまう自分もいる。


でもね、聞かないよ。
『ここ』にいてくれるから。
『ここ』にいてくれるのなら。
コナン君の姿でも新一という存在はちゃんとここにいてくれる。
何より、『新一が』帰ってくると言ってくれたのだから。
そうだよね?

姿はコナン君のままだったけど、あの時のあなたは・・・どの角度から見たって新一だった。


弱気になってしまうこともある。
そんな時、コナン君の瞳が 心が優しく笑って、私を呼ぶの。
『・・・蘭』って。
「それでも隠しているつもり」って言いたくなるけど、
『そんなところも新一なんだよね』って新一を近くに感じられるよ。
そんな1つ1つの仕草で嬉しくなれるんだよ。
・・・悔しいから教えてあげないけど。


コナン君、お願いがあるの。
お願い・・・じゃなくて、我が儘っていう言葉のほうが正解なのかもしれない。
きっと困った顔をするんだろうけど、それくらい許してもらわないとね。


今まで2階にある毛利探偵事務所の窓から空を何気なく眺めていた私は、3階にある自宅へと足を進めた。
ドアを開け、玄関で足を止める。

「コナンく〜ん。」

少ししたらコナン君の足音が近くに聞こえてくる。
「なあに、蘭姉ちゃん?」とかわいい子供の役を演じながら私の元へとやって来た。

「ねえ、突然なんだけど今から海に行こうよ。」

コナン君は(何で?)という顔をして私を見る。

「・・・泳ぎにでも行くの?」

そんなことを言うコナン君につい笑ってしまう。

「今はまだ3月だよ?」
「だ、だよね。」

(じゃあ何で?)と聞きたそうなコナン君に、私は「ただ行きたいだけだよ。」と答えた。
「ねっ、いいでしょ?」と言ってコナン君の目線に合うように膝を折り、屈みこむ。

コナン君は顔をほんのり赤くして、慌てた様に言った。

「い・・・いいけど、それじゃあ蘭姉ちゃん、平次兄ちゃんみたいだよ。」
「どうして?」
「思い立ったらすぐ行動するところとか。」
「いいじゃない、たまにはそんな時もあるものよ。
それに、それは服部君の良いところの1つでもあるでしょ?」

と言うと、なぜかムッとした顔つきになって「そうだね。」と不機嫌な声を出した。
いきなり私の手を小さな手がぎゅっと握って、足早に歩き出した。

「ちょっ、どうしたの。コナン君、そんなに急がなくても大丈夫だよ?」

と言うと、ハッとした表情をし、足を止めると同時に手を離した。
「ごめんなさい。」と言って、再び歩き出そうとしたコナン君の手をそっと握る。

「ら、蘭姉ちゃん?」
「ゆっくり行こうよ、慌てなくても海は逃げないし、私達のペースで。ねっ。」


その言葉にコナン君は穏やかに笑うと、「そうだね。」と言って私の手を握り返してくれた。


どうして海に行きたいって言い出したと思う?
あなたを・・・新一を1番近くに感じたかったからだよ。

コナン君として傍にいてくれる。
それだけでも嬉しいと、幸せだと感じないといけない。
分かってはいるけど、やっぱり寂しいと思ってしまう時もある。

そんな時はね、

空の青を見て、新一の何処までもまっすぐな瞳を
海の青を見て、新一の深く包み込むような心を 見ていたいと思うの。

コナン君と一緒にね。

だったら、コナン君を通して見ていればいいのかもしれない。
でも、私が見ているのに気づくと、ふいに酷く切なそうな顔をするから。


気づいているんだよね。
私がコナン君を通して新一を見ていることに。
だから何もできない自分を責めてしまうんだよね。
でも、私は・・・今は何も言えない。

何もしなくてもいい。
一緒に同じものを見て、感じていよう。
いつでも私はあなたに『大好きだよ』って伝えているから。

叶うなら・・・潮風に乗せてあなたの海へと届けてください。
もし届いたのなら海の底へ沈めておいてね。
浮かんでくることのないように。


『新一が、コナン君が・・・どんなあなたも大好きだよ。
私にとって、『あなた』は『あなた』でしかないのだから。』


新一の青に私の気持ちが混ざると、あなたの青は何色になるのかな。

できることなら、
『あなたの青がより深く、温かなものになりますように。』





――― END ―――




ニッシー様よりいただきました、素敵小説第3弾。
サイトアップのお許しをくださり、どうも有難うございますv
同じ「蘭ちゃんは『コナン=新一』と気付いてる派」としては、大納得なのですv

多くの新蘭好きーさんが仰るように、私も『新一=青』のイメージがあります。
だからこのサイトも、無い知恵絞って青っぽくしようとしているわけですが。
その「青」を上手く絡めて、これまた上手くまとまっているお話です。
・・・もうあなたを「ただの読み手」だとは、言わせませんから!
私も頑張らなくちゃな、と思います。はい。


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